障害年金が支給停止となる場合

文責:所長 弁護士 羽藤英彰

最終更新日:2025年01月07日

1 障害年金が支給停止となる具体的なケース

 障害年金が支給停止となる場合としては、以下の2つのようなケースが考えられます。

・更新時の診断書によって、障害の程度が軽快したと判断された場合

・20歳前傷病の場合の所得制限の対象となる場合

 以下では、それぞれについてその理由と支給停止後の対応についてご説明します。

2 更新時に障害の程度が軽快した判断された場合

⑴ 支給停止となる理由

 障害年金には、有期認定と無期認定があり、有期認定となった場合には所定の時期に更新の手続きをとる必要があります。

 この際、障害状態確認届という診断書を医師に作成してもらい提出することになります。

 この確認届の内容によって障害が軽くなったと判断され、障害年金が支給される等級に該当しないと判断された場合には、障害年金の更新が認められず、支給が停止することになります。

 

⑵ 支給停止となった時の対応

 支給停止に納得がいかない場合には、その決定に不服があるとして、審査請求を行うことができます。

 また、支給停止後に再び障害の程度が重くなったとして、その根拠となる診断書を添えて支給停止事由消滅届を提出することも可能です。

 この2つの手続きは同時に行うことができるため、不服がある場合には、両方の手続きを行うことも考えられます。

 参考リンク:日本年金機構・年金の決定に不服があるとき(審査請求) 

 参考リンク:日本年金機構・ふたたび障害の程度が重くなったとき 

 

⑶ 支給停止とならないためには

 「実際は障害の程度が軽くなっていないのに軽くなったと判断されてしまった」というようなことを防ぐには、更新の際にも、診断書をしっかりと準備することが大切です。

 障害年金を多く取り扱っている社労士・弁護士であれば、診断書の準備を適切にサポートしてくれることが見込めるため、更新の際には専門家へ依頼することもおすすめになります。

3 20歳前傷病の場合の所得制限の対象となった場合

⑴ 支給停止となる理由

 障害年金は、基本的に所得制限はありません。

 しかし、20歳前に初診日がある場合には、初診日以前に全く国民年金の保険料を支払っていなくとも障害年金の支給が認められるため、その代わりに所得制限が課せられています。

 具体的には、扶養家族がいない場合には、受給者本人の前年の所得額が472万1000円を超える場合には、障害年金の全額が支給停止されることになっています(令和6年4月1日時点)。

 そのため、前年度にそれ以上の所得があった場合には、障害年金の支給が停止されることになります。

 参考リンク:日本年金機構・20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等

 

⑵ 支給停止となった時の対応

 所得制限に引っ掛かって支給停止されたという場合、所得制限に引っ掛からなくなった場合には障害年金を再び受給することができます。

 この場合は、所得制限に引っ掛からなくなったことを日本年金機構が確認すれば支給が再開されます。

 日本年金機構は市区町村から所得情報を受け取れるため、基本的には所得状況の提出は必要ありませんが、場合によっては「所得状況届」の提出が必要になることもあります。

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